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       「物質移動」系に属する「瞬間移動」と「テレポート」は、実際には「物質超高速移動」というべき魔法です。 
       ここでは、そのさまざまな問題点について考えてみましょう。 
       目で見えている範囲程度の移動であれば、さほどの問題もありませんが、遠距離を一気に移動するということになると、通常空間(しかも大気中)を高速移動するためには、実のところ非常に多くの問題点が生てくるのでございます。 
       
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      「魔法シールド」忘れるべからず | 
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       ほとんどの場合、いったん空に舞い上がって、超高速で飛んでゆくということになる(地上は障害物が多い)ので、さまざまな物理的障害が発生する。 
       列挙すると、以下の通り。 
       
      1.強烈な加速による、Gの問題。 
        何の対策もなければ、良くて失神、失禁(笑)。悪くすれば脳などに損傷を受けて死亡する。 
       
      2.空気摩擦の問題。 
        着ているものはビリビリに裂け、髪の毛は燃え上がり……えらいことになる。 
        それに、このような状況では呼吸も困難となるはずである。 
       
      3.衝撃波の問題。 
        音速を超えたときに発生する衝撃波により、周囲の建物や人に損害を与える。 
       (当然、術者自身もダメージを受ける) 
       ★この欠点を逆用した攻撃魔法「衝撃波」というのも存在する。 
       
      4.減速問題。 
        あらかじめ十分に減速しておかないと、到着地点に激突してしまう。 
        減速の方法そのものが大問題。 
       ★捨て身の体当たりに用いる場合には考慮無用。 
       
      これらの問題を解決するため、「魔法シールド」が必要不可欠となる。 
       
      ★新第一巻の142ページには、ザルガがシャロンを乗せて空を高速移動するシーンが登場するが、この時の速度はほとんどテレポート並みなので、しっかりと「衝撃波」も発生している旨、きちんと描写されており、もちろん「魔法シールド」に関しても言及されている(「魔法による防御結界」という表現であるが)。 
       
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      「魔法シールド」の効能 | 
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      1.自分の周囲の一定範囲の空間をその外側と遮断し、その空間ごと移動することができる。 
        途中で空気などと接触するのはシールドの表面であり、術者の肉体ではない。 
       
      2.加速度をある程度緩和してくれる。 
       
      3.衝撃波や摩擦のエネルギーを緩和、吸収してくれる。 
       
      4.ブレーキとしての役目も果たす。 
        (裏を返せば、移動速度を遅くしてしまうということでもあるのだが) 
       
       この「魔法シールド」が限界に達するところが、一回のテレポートで飛べるぎりぎりの地点ということになるだろう。 
       シールドの張り方や、その形状調整、移動速度との兼ね合いによる再調整……そのあたりをきちんとできる術者でないと、この術による長距離移動はとても難しいであろうと思われる。(何せ計器も測定器も何もなく、すべてカンで行うのだから) 
       
      ★作品中でこの「テレポート魔法」を用いたキャラクタは、実はただ一人、ジレンヌのみである。 
       他のドリュテスたちは、ただの一度も(戦のまっ最中の伝令たちですら)使っていない。 
       使っていれば、明らかに戦がとても有利に展開したであろうことは疑いないというのに。 
       つまり、それほどに危険な、たいへんに困難な魔法なのだということであろう。 
       (ただ単に「走る方が楽しい」だけかもしれないが……) 
       
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      より安全な「テレポート」魔法 | 
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       これは物質移動系ではなく、「門」の向こう側へ移動し、異世界をてくてくと移動した後、改めて別座標にて「門」を開き、こちら側へと戻るものである。 
       超高速移動を行わないぶん安全ではあるが、欠点も幾つかある。 
       
      1.「門」のないところへは移動できない。(「門」を持つ者がいれば可) 
      2.「一瞬で」というほどには、すばやく移動できない。(「一瞬で居なくなった」ようには見える)  
      3.しくじると、「あちら側」で迷子になることがある。 
      4.異世界を移動するのは、さほど楽でもない。(若干の時間短縮にはなるが) 
      5.異世界に長居をし過ぎると、身体に変調をきたすことが多い。 
       
       などなど、いろいろ不便ではあるが、「人間」の魔道士でも使えるのは大きなメリットである。 
       
      ★二巻でラミルダらが用いたのは、こちらのタイプ。 
       若い魔道士ならある程度の加速度にも耐えられるのだが、老人にはきついのである。 
       
      ★影の魔道士パンドラが用いた「影から影」の魔法も、こちらのタイプ。 
       
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