第三巻 「玄冬のトーガ・ムレン」
ISBN4-88392-563-3
2006/9/27 第一刷
2012/08/28 電子書籍版発売
表紙:ワスカル・レムール

「人の子らよ、ゆめ忘るることなかれ。
 われ今はただ、つかの間(・・・・)の浅き眠りの中にまどろみおるのみ。
 いつの日にか、この定められし時の尽(つ)きはつるとき……
 われ再び汝(なんじ)らの頭上に現れ出(い)でて、
わが白皙(はくせき)の光もて汝らの行く手を照らさん。
 そう、かの時(・・・)のごとくに……」

 失われし時の力を呼び戻すべく、彼らはことを起こした。
「よかれ」と信じて……


 この第四巻からは、新たなシリーズの物語となります。

 これまでの三巻が「立志編」と呼ぶべきものであるとすれば、ここからは「時空編」とでも呼ぶべきものとなり、数千年の時を挟んで、幾つかの物語が相互に絡んでゆくこととなります。

 今回、この第四巻で語られるのは、およそ千年前の物語。
 そして、キーワードは「月」です。
 一〜三巻を読まれた方は、あるいは気がつかれたかと思いますが、ギャメルたちのころの時代のルテラの天空には「月」が存在しておりません。
 それが何故(なにゆえ)であったのか?
 そのためにルテラという世界がどういうことになってしまっていたのか?
 そのようなことの元凶となった大事件、「ワスカルの災いの日」についての秘話の数々が、この巻の中で語られることになります。

 さて、そしてその千年前の逸話が、どのような形でギャメルたちの時代へ繋がって行くことになるのか……
 それは、続く第五巻にて語られることととなります。
第四巻の登場人物一覧

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