第二巻 「紅きたてがみ」
「ぶんりき文庫」版
紅きたてがみ
ISBN4-88392-235-9
2002/04/01 初版発行
2005/10/01 新版発行にともない絶版
表紙の人物:ジグフリード・ウィルキンゲトリクス

嗚呼、ルキタニア、ルキタニア……

 この作品の原案は、第一巻の原案を完成させた直後に書いてありました。
 当初は原稿用紙にして400枚程度の、わたしとしては「こぢんまり」とした作品だったのですが……長大なる第一巻への反省から、あまりにも「まとめよう、まとめよう」として執筆したがため、あとになって見直してみると、かなりストーリーをはしょりすぎている感がいたしました。そこで、第一巻のペースと揃えるべく大幅に加筆修正し、結局ほとんどを書き直してしまった作品です。(元のままなのは、およそ2割程度)

 外伝的な小作品の中でクローズアップした「ルキタニア人」の設定が、わたしの内側で大きく比重を高めてきて、もはや「伏線」と言うよりはメインのテーマに匹敵するほどのものとなってしまっております。特に、この作品の「序章」などは、本編のストーリーに出てくる登場人物などは誰一人として登場しない、500年前の話であると言うほどです(^^;;; そして、その500年前の話の主人公たるウィルキンゲトリクスの末裔二人が、本編の話に絡んでくる……という筋書きになっておりますので、壮大な架空歴史というものを感じるには良いかと存じます。(おいおい)
 本当は、もっと先に話を進めたところで一冊にしたかったのですが……結局新たなキャラクタの話などを膨らませすぎまして、いよいよ長くなりそうになりましたので、予定の半分の辺りで区切りといたしました(それでも原稿用紙にして500枚を超えてしまいましたが……)。
 ちなみに、元の400枚版(?)でのラストシーンの辺りへ到達するのは、第三巻のラストでもまだ足りず、来たるべき第四巻辺りで追いつくような感じです。……と、こう申し上げれば、如何に元の原稿がはしょっていたかがお判り頂けるでしょうか……

 主人公ギャメルの「正体」に関して、ある程度のヒントが顕わになってくる部分もございますし、かなりの数の新しい個性的なキャラクタが登場して、ますます作品世界は賑やかになってきました。(そのくせ、全く出番のないキャラも居たりして……)「ルキタニア人」や、その「血を引く」という設定になっている登場人物に注目しつつ、読み進めてみて下さい。
 当巻のタイトルは「ルキタニア人」の民族的特徴たる赤髪を美化した言葉をそのまま使用したものです。ちなみに、元の原案では「カルデリアの魔剣」というものでしたが、魔剣の登場シーンまではとても行き着きませんでしたもので、変更を余儀なくされてしまいました。(笑) 
上記のような理由により、この「ぶんりき文庫」版は、現在の通常文庫版よりもだいぶ短めとなっております。ヨアキムVsハロン・フォルカスの名勝負(?)場面も存在しません。いささかヤマ場に欠けるきらいのあるヴァージョンですが、これも既に絶版となりましたので、あるいは将来的にはレアアイテム化するかも……知れません。
???(^^)

出版社による解説ページ