|
主人公ギャメルたちの時代からさかのぼることおyそ5000年、ヴァルヒャリア族とドリダリア族との戦いは激烈を極め、ルテラ世界を焼きつくした……と言われています。
その時、互いの超戦士たちが用いたと言われる伝説的な破壊魔法。
それが「アグネアの怒り」あるいは「ヴリトラの咆吼」と呼ばれる究極的な破壊魔法です。
これらはそれぞれ呼び名は異なりますが、原理としてはほぼ同じものです。
それがどのようなものであるのか、これから紹介しましょう。
|
|
|
|
「アグネアの怒り」の呪文 |
|
|
いと深き水底(みなそこ)に眠れる、魔水霊(まがみずたま)よ……
ひとつひとつなる重き水、
ひとつふたつなるいと重き水、
集(つど)わせたまえ、
清めたまえ、
凝り固まらせたまえ……
重き水(デウテリウム)、
いと重き水(トリティウム)、
封じ込めよ(アポクリーズモス)、
封じ込めよ(アポクリーズモス)……
封じ込めよ(アポクリーズモス)、
封じ込めよ(アポクリーズモス)、
内側に向け爆発せしめよ(エクリクシス・ト・エントス)!
内側に向け爆発せしめよ(エクリクシス・ト・エントス)!
爆縮(インプロージオン)!
爆縮(インプロージオン)!
|
|
|
|
|
|
解説 |
|
|
少し科学の知識のある人でしたら、上の呪文を解読して「ぎょっ!」とされたことでしょう。
そうです。
これは「水素爆弾」そのものなのです。
重水素(陽子1、中性子1……という分子構成の、水素の安定した同位体)と三重水素(陽子1、中性子2……という構成の、水素の放射性同位体)の混合体を魔法的な力場の中に封じ込めておいて、そこに超高温の熱魔法(およそ数億度に急速加熱することが必要)を加えて起爆させるというものです。
「冥王の怒り」(原子爆弾)による起爆システムよりもクリーンではあります(放射性物質は発生せず、とうぜん拡散もしません)が、破壊力は水爆そのもので、その威力は、凝集した重水素と三重水素の混合体の量に比例します。
いくら「クリーンな水爆」であるからといって、これを乱用したらどのようなことになるかは、容易に想像していただけることと存じます。事実、ヴァルヒャリア族もドリダリア族も、それぞれに壊滅的な被害を被ってしまいました。
過去への反省から、ヴァルヒャリア族もドリダリア族も、この魔法の技術は封印し、更に「いと重き水」たる三重水素の生産と貯蔵を半永久的に放棄しあったため、この魔法は永遠の禁呪となったはずでした。
しかし……、
|
|
|
 |
★当サイトに掲載されている小説、詩、その他の作品の著作権は三角隼人に帰属します。無断での引用、転載等はご遠慮下さい。★
|