登場人物
その3(打撃系武器)

剣や刀は「斬る」武器であり、槍や弓矢は「刺す」兵器ですが、ここでは「打つ」または「撃つ」武器を紹介。
板金鎧や鎖帷子の発達した世界においては、刀刃はものの役に立たぬことが多いため、このような兵器が発達ました。(これは現実世界の欧州などでも見られた傾向です)

ベク・ド・コルバン
Bec de Corbin
「カラスのくちばし」という意味の、ハンマーとつるはしを合わせたような形をした長柄武器。
ハンマーの側で敵の甲冑をへこませたり、尖った先端部で穴をうがつようにして用いる。
「鷹のくちばし」(Bec de Faucon)ともいう。

★主人公ギャメルは、この特大サイズのものを設えてドリダリア人との決闘に臨んだ。

★現実世界では14世紀にフランスで生まれ、17世紀ごろまで用いられた。

棒・杖・棍
Staff
要するにただの棒なのであるが、その長さによりさまざまな名称で呼ばれる。
扱いが容易であり、製造にも手間暇がかからないので、安上がりの兵器として多用された。
敵の槍や刀を受け止めることもできるので、防御の役にも立つ。
ただのぼうきれ、と侮るなかれ。熟練した杖術使いが用いれば、かなりの威力を発揮する。

★ギャメルも、ベク・ド・コルバンの先端部を破壊されてからは、ただの“鉄棒”を愛用していた。

聖槌(メイス)
Mace
棍棒の先端部に重量のある鉄球、または放射状に配置された鉄板などをあしらい、打撃力を強化したもの。
板金鎧を着込んだ相手を攻撃する際には、もっとも有効であったという。

★通常のものはただの鉄槌であるが、騎士団が用いるものは聖別されているため、聖槌と呼ばれる。

★現実世界でも、各地で多種多様な長さやデザインのものが用いられた。
★中国の狼牙棒(ろうがぼう)や骨朶(こつだ)も、この類である。

フレイル
Flail
メイスは強力な破壊力を持つ打撃兵器であるが、命中時に使用者の手にも反動がくるという短所がある。
それを補うように編み出されたのが、先端部を別体として、柄との間を鎖もしくは紐で結んだフレイルである。
この構造により、そうとうの勢いで相手を殴りつけても、手が痺れてしまうようなことはない。
また、振り回す際の遠心力も利用できるため、打撃自体の破壊力も増すことになる。
(十分に頑丈な長柄のものを用いれば、歩兵が騎兵を馬から叩き落とすことも可能となる)

★現実世界の“ヌンチャク(二節棍)”も、この一種。

戦斧
War Axe,
Battle Axe
斧は原始的な日用道具の一つであるが、古くから戦闘用にも用いられた。
剣や刀のような華麗さには欠けるが、その一撃必殺の破壊力は凄まじい。
打撃系と刀刃系の長所を兼ね備えた恐るべき武器であるが、かなり重量があるので、扱いにはそれなりの膂力が必要である。

★作中では、ルキタニア系の人物が好んでこれを用いる。
★彼らの用いる「ルキタニア斧」は、通常のものよりも柄が長く、両手で用いる仕様になっている。
★また、その先端部は通常のものより長めに伸ばされ、やや鋭利な刃もつけられているため、敵を
 「撫で斬る」ことも可能なようになっている。

ボーラ
Bola
長い紐(もしくは鎖)の両端に錘をつけたもの。
三つ叉になっていたり、多数の錘がつけられていたり、さまざまな種類がある。
直接敵の身体に投げつけ、打撃を与える目的で用いることもあるが、普通は「脚を絡ませる」ために使う。
その昔、ヴァルヒャリアの馬人族の突撃力を恐れたドリダリア族が、対抗策として編み出した。

★現実世界では、主に南米で鳥獣の狩猟用として用いられた。
★日本にも、これとよく似た「微塵(未塵)」という名の武器があった。(三つ叉で、中央に鉄環)

  

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