ルテラ世界
諸国家・諸民族

ガルテカ
Gharthk

国家:ルテラ大陸とは西に離れた亜大陸に存在する、独立した文明を持つ有角人腫の国家。カルデリア魔法王国が滅亡した際に難を逃れて移住してきた有角人腫の末裔である。旧魔法王国のテクノロジーを伝えており、大陸の国家群に比べて著しく魔法科学文明を進化させているが、「他国に干渉せず、させず」と言う鎖国政策を取っており、そのテクノロジーを他国に伝えようとはしていない。ドリダリアとは正規の国交関係を有しているが、その他の国とは国交関係はない。ただし、民間レベルでの通商路はマリトニアとの間に僅かに開かれている。

種族:二本角の「青ガルテカ人」と一本角の「赤ガルテカ人」とが存在する。青ガルテカ人が支配階級を独占しており、赤ガルテカ人は半奴隷的な位置に置かれている。「角が多いほど偉大である」という発想を有し続けている為、当然のごとくに「無角人」への差別意識は強い。「ガルテカ」とは「角有る民」という意味である。


カルデリア
Charlderiah

国家:かつては、太古のカルナルヴァ文明が滅亡した後の魔法文明を担う随一の魔法王国であったが、「ワスカルの災い」の大惨事と、その後のリュガスとの戦い、そして「グータの大殺戮」により、その魔法文明はほとんど失われてしまった。マウア帝国の支配する時代に於いては、かつての魔法文明の僅かな残滓を細々と伝えるのみの、一地方政権に過ぎない。

種族:カルデリアは有角人発祥の地である為、有角人腫が比較的多いが、現在ではマウア人を初めとする無角人種の方が多くなっている。「角を持たぬ民」への伝統的な差別意識は消えてはいないが、ガルテカにおけるそれほどには強くはない。今ではカルデリアに於いてでさえ、「角有る民」の方が少数派であるのだから……


カルナルヴァ
Charlnalva
ドリダリアからヴァルヒャリアにかけてのルテラ大陸北部の全てと、リュガスの北部とを含む広大な領域を指す言葉。かつてはそこに偉大なる「カルナルヴァ文明」が栄えていたが、太古に滅び去った。リュガスの首都「カルナテルン」の「カルナ」は、この「カルナルヴァ」の名残である。

特にリュガス・カルナルヴァという言い方をする場合は、カルナテルン周辺の平原地域のみを指す。

ギスパニア
Ghispania

国家:ルテラ大陸の人類居住地域の北部、ルキタニアとブルンガリアに挟まれるように位置する山岳国家。リュガス王国時代には独立していたが、マウア帝国の時代に併呑された。

種族:無角人種の一種とも言われているが、リュガス系とマウレタニア系とが混交しただけだとも言われている。(前者を古ギスパニア人、後者を新ギスパニア人と区別する分類法もある)
 リュガス的な容貌を持つ者も多いが、生粋のリュガス人ほど背は高くないし、騎馬の風習もほとんど持たない。概して「利に聡い」国民性を持つが、それ故、他の民族からは「小ずるい連中」と評され、忌避されることが多い。


ドリダリア
Dorhhdarhhah

国家:ルテラ大陸の北西のはずれ、灼熱の火山地帯と、そこに位置する「亜竜族」ドリダリア人の国家をさす。他の人類社会とはほぼ隔絶されており、ガルテカを除いては交流がない。ヴァルヒャリアのドリュテスたちとは仇敵の関係にあるが、互いにその居住領域をカルナルヴァの両端に相当の距離を空けて位置させる、という形で調整し、もめ事を避けている。

種族:「亜竜族」とも呼ばれる、最も竜に近い形を持つ種族。体格は巨大、頑丈で、かなりの傷を負っても直ってしまう。長命種族で、五百年から千年ほど生きると言われているが、人類社会には正確なデータが伝わっていない。「トカゲ野郎ども」などと言われたりもする。ごく僅かの例外的な個体を除くと、ほとんどのドリダリア人は故郷ドリダリアに居住している。


トリテア
Trithair
広義:東西の両トリテア島を合わせた、大小の諸島全てを意味する。カルナルヴァの時代の遺跡も存在するが、長年に渡って居住する人間のいない土地であった。カルデリア魔法王国の滅亡時、大量の流民となってガルテカへと向かった有角人種の一部がトリテアに残留し、以後は各種族の移民が行われた。地形的に東西の大島に別れて居り、互いの往来が不便であるため、文化的にも東西の差異が大きい。

狭義:マウア帝国においては、その政治権力の及ぶ「東トリテア」のみをさす。

国家:東トリテア島はマウア帝国領、西トリテア島はガルテカ共和国領であるが、西トリテアの北部には「自由トリテア連合」と呼ばれる小国家の連合体が独立勢力を保っている。彼らはマウア・ガルテカ両大国に挟まれ、緩衝地帯国家として細々と存続しつつ、いつの日か「大トリテア」を建国する時を待ち望んでいる。

種族:多種多様の移民が長年に渡って移住・混交したため、種族としての「トリテア人」は存在しない。だが、トリテアに居住する有角人は圧倒的に一本角の「赤ガルテカ」タイプが多い。地域格差は大きいが、人種偏見が最も少ない地域ではある。他の地域では滅多に見られない有角人種と無角人種との混交もかなり見受けられるほどだ。言語学的にはまとまりが無く、「トリテア語」の地域差は極めて大きい。公用語は東トリテアに於いてはマウア語、西トリテアに於いてはガルテカ語であるが、自由トリテア連合では「古トリテア語」を用いている。


ブルンガリア
Burngarlia

国家:ルテラ大陸の人類居住地域の北部、リュガスに隣接する位置にある高原地帯の小国。リュガス王国の時代にはその属国であり、リュガス王国の滅亡と共に独立を果たしたが、その直後、マウア帝国に併呑されてしまった。

種族:人種的にはリュガス人と同種である。言語学的に多少の違いがあるに過ぎない。「辺境の民」として見下げられてきた歴史があり、リュガス人に対して或る種のコンプレックスを持つ者が多いが、逆に「我らこそが本来の騎馬民族」との気概をも有している。人口は少ないが、その兵は精強である。


マウア
Mauah

広義:マウア帝国の領有する全ての地域をさす。

狭義:リオ・タタラ(タタラ河)流域のマウアの森を中心とする一帯のこと。

国家:マウアの森から興ったマウア帝国。当初は「森の蛮族の国」と呼ばれた小国であったが、後にルテラ大陸の東側をほぼ統一する大帝国となる。首都はリュッヒテルン(旧称タタラテルン)。

種族:狭義では「マウアの森の住民」をさすが、広義では「マウア帝国の国籍を有する全ての者」をさす。
 狭義のマウア人は黒髪の無角人種で、背丈も比較的低めである。魔法王国時代には、彼らの祖先はマウレタニアに居住していたと言われている。

★ 狭義のマウア人も、厳密には「ワスカルの災いの日」の難を逃れて移住した、先輩格の「森林マウア」と、後にリュガス王国期に「ルキタニア対策」として半ば強制的に移住させられた、新参の「平原マウア」とに区別される。だが、その差異はごくわずかであり、あまり意識はされていない。(民俗学的にはまったくの同種族。ただし方言の違いは存在している)


マリトニア
Maritonia

国家:ルテラ大陸の西部地帯に広がる草原地帯、及びそこに連なる小国家の連邦国家をさす。マリトニア連邦は商業国家であり、ルテラ各地との通商が盛んである。

種族:無角人種の亜種で、人種的にはマウア人と同種。とある理由で、男性はほぼ全員がスキンヘッドにしている。商才に長けた民として知られ、各地でマリトニア商人の姿を見ることができる。
 民族として呼ぶ場合には、正確には「マリトン人」というのが正しい。

★ 古い時代(魔法王国期)までは、マリトニアという地名はなく、マウレタニアと呼ばれていた。
★ マウレタニアには、後のマウア人、マリトン人の祖先に当たる人々や、ルキタニア人、ギスパニア人の祖先に当たる人々などが住んでおり、大雑把に「西の蛮族」と総称されていたが、「ワスカルの災いの日」に伴う大破局の影響でマウレタニアの大半が砂漠化してしまったため、その難を逃れるべく各地に離散して行った。
 後にマリトン人と呼ばれるようになる民族だけは、他の民とは異なり、荒廃した故郷に残留する道を選択。その後、元来のマウレタニアという呼称は時とともに廃れ、「マリトン人の住む土地」という意味でマリトニアと呼ばれるようになった。


リュガス
Lugas

国家:ルテラ大陸の中央部に位置するリュガス平原を中心とする国家。ギルモワ・ギュルテムンゲの代にカルデリア魔法王国を滅ぼして覇権国家となり、数百年に渡ってルテラ大陸の半ばを支配したが、新興のマウア帝国に滅ぼされる。また、リュガスはワインの特産地でもある。首都はカルナテルン。

種族:金髪碧眼を特徴とする背の高い無角人種。旧王国時代から、伝統的に他民族との混交を好まない。ルテラにおける無角人文明の中心をになう国家であり、住民の気位は高い。差別意識と階級制度の強い国民性である。祖先が騎馬民族であったため乗馬の風習は盛んである。

★ マウア帝国期には「伝統的な文化の民」として畏敬の念を持たれるようになるリュガス人ではあるが、カルデリア魔法王国期には「北の大蛮族」として蔑視され、差別を受けていた。


ルキタニア
Luchitania

 国家:ルテラ大陸の人類居住地域の北東の外れに位置する小国家。かつてはルキタニア人の国家であったが、それがマウア帝国に滅ぼされて以降は人種の入れ替わりが生じており、住民の大半はギスパニア系となっている。

 種族:ルキタニア人は「紅きたてがみの獅子」と呼称される勇武剽悍な民で、マウア帝国に最後まで抵抗し続け、住民の九割以上を戦死させるという壮絶なる亡国を遂げた。以降ルキタニア人は各地に散り散りとなり、「まつろわぬ民」と呼ばれるようになる。生粋のルキタニア人は燃えるような赤毛を持ち、背が高い。性格は純朴そのものであり、「裏切り」という言葉とは全く無縁である。分類的には無角人種。


ルテラ
r’Terah

広義:この物語の世界。外宇宙世界と隔絶された空間に存在する特異世界。その成り立ちには数々の謎があるが、物語の進行に伴い、それは徐々に解き明かされ、語られて行くことになる。

狭義:ルテラ大陸のことをさす。ルテラの住民は、専らこちらの意味でこの言葉を用いる。


ヴァルヒャリアValhhalliah

ルテラ大陸の北東のはずれの広大な平原地帯をさす。ドリュテスたちが居住しているが、国家と呼べるほどの人数は存在しない。

種族:ドリダリア族と並び、「旧世界」カルナルヴァの時代から生き残っている数少ない種族。男性たる「レムルハ」、女性たる「ドリュテス」、そして”完全体”たる「ゲリュペス」の三つの性を持つのが特徴であったが、ドリダリアとの大戦でレムルハが全滅し、ゲリュペスも最後の一人を残すのみとなってしまったため、現在では「ヴァルヒャリア族」という呼称は用いられなくなった。本来女性を意味する言葉であった「ドリュテス」が、今やこの種を表す言葉となっている。極めて長命な種族で、ドリュテスは五千年ほど、ゲリュペスに至っては数万年を生きると言われている。


 

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